生き物の分類として人とは違う認識をしていても、日常に彼らが家族として溶け込むことで違いだけではなく見えないものがより見えなくなっていきます。自分の感覚でさえ失いがちな私たち人ができることは、常に意識を向けること。何度も何度も意識しなおしつつ、共に暮らしていくことで、小さな変化を見落とさずに穏やかな日常を作ることができます。
いくつか項目にしてお話しいたします。
○意識の向け方・捉え方
初めのうちは、新鮮だったり慣れないことなので彼らの存在や・気を配ることが容易です。ポイントはその最初のタイミングの意識と把握、さらに慣れてきたときにどれくらい自己コントロールせずに意識を使えているかになります。一つ違う角度から例をあげます。
例えば、妊婦さんや赤ちゃんがいるご家庭のママさんの様子を思い浮かべてみてください。妊婦さんは自分自身が変化し続けていいくので、もちろんのことですが自分の内側の変化に機敏に反応し感じ取ることができるようになります。以前とどう違っていたのか、一週間前との変化、昨日との変化、今朝との違い。自分事で起きるので、意識のコントロールは必要なく、人によって強弱もありますが自己把握をしています。過敏な方は、自分を守る能力に長けていたり、自分把握を常にしている方が多いです。(それもバランスなので抜き加減を知ってあげると良きです。)そして、赤ちゃんが生まれると、外側へ意識が向きます。ママさんが神経過敏になるのは、すごく当たり前のこと。本を読んだり、お話を聞いたりして、どんなに知識を蓄えていても、すべてが同じではないからです。あらゆる違う環境の元、違いを察知しながら自分の記憶にしみこませ子育てをします。子供が夜中、体調を壊して吐く瞬間がわかったり、離れているところからの様子でも熱があるなと判断できたり、子供の状態を常に記憶し違うことを見抜いたり察知していきます。成長段階で、もちろん気づけなくて溜息をつきながら過ごすこともあるでしょう。それが、変化になれた後の意識しなおしが必要な時でもあります。
これらはペットにも当てはまります。小さな時やはじめましての時は比較的、人は注意深く観察をします。繰り返し触れ合いながら行動と声でコミュニケーションをとります。その中で、その子の癖や好み変化の仕方を見つけていきます。この繰り返しを忘れずに続けていると彼らからの反応や信号も受け取りやすくなることに自分自身が気づくのです。また、彼らの成長は人よりも早いため、自己主張が始まるのも早いです。そのため、違いや変化をとらえる間もなく育てる側が慌てることも少なくはありません。解決策としては、ある程度の知識を丁寧に理解しておくこと。後述する人と彼らの感覚の違いを知っておくと今後のために役立ちます。
動物の喜ぶ姿は、とても躍動的で気づきやすいかもしれません。(時に性格で、シャイな子も、ひっそり喜ぶ子もいるので、人と同じなんですが(笑))無償の愛を注いだり、癒しをくれる彼らは、タイプにもよりますが自分の変化を見せない子もいます。痛いこと、辛いこと、苦しいこと。我慢して我慢して大きな病気を呼んできます。時には、そのまま旅立つことさえあります。変化が出やすい子は、少し安心かもしれません。彼らの声は言葉ではありませんが、見えない信号を受け取り、共に心地よい日常を過ごせるようにしていければと思い綴っています。
では、彼らの感覚についてお話ししていきます。聞かれたことも含まれていると思いますが、ぜひお読みください。
○人とペットの感覚の違い
動物病院の診察室で実際に耳にする内容をお話ししますね。なんとなく過ごしていることが、時には大切な彼らを苦しめる原因になっていたなんて!その場で知る飼い主さんの悲しみの表情を今でも思い出すことができてしまう。私たち人は、服を着たり、帽子をかぶったり、時にはマスクをつけたりすることができます。犬や猫は、飼い主さんが服を着せることはできますが、自然体ではそれぞれ個性の元に毛と皮膚が全身を覆って身を守っています。その毛や皮膚は、嗅覚や視覚、聴覚と同じように役割があるのです。まず、いらしていた中型犬の子は行動異常で落ち着きがなく、なかなか迎え入れてから懐かないとのご相談でした。身体に異常はなし。心はどうか。彼らの嫌悪や不安は、言葉にできないので行動に現れます。つまり何かしらどこかに原因があるということ。結果は、香水でした。一番家族のなかでも、動物が大好きでその子を大事にする相手。心の中は、きっと嬉しさと苦しさが闘っていたのだと思われます。原因を見つけて取り除くことは、お薬ではできないので、相談できる場所というのも変わってくると言えます。もう一つ毛というところから、お話ししますね。ある猫ちゃんの健康診断にみえた独身の男性が居ました。とても大切に愛おしそうにお話をされるる方でした。一人と一匹の生活。そんな空間。諸々の検査の結果、数値の異常が見つかります。生活面や猫ちゃんの様子、特にこれと言って見当たらないけれど、やはり原因はありました。お部屋で過剰に吸うたばこ。毛質によって反応は違うようですが、吸うのは呼吸だけではないということ。小さな積み重ねで、気づかないうちに小さな命を苦しめることは防いでいきたいですね。
では、どれくらい感覚が違うのか。そちらも、把握していきましょう。猫の聴覚は犬よりも優れます。視覚が弱めだからこそかもしれません。40%の情報を聴覚から得ていると言われています。かなり遠くの音でも高音を察知し音の方角も把握するそうです。聞き取れる音を周波数で表すと人の約3倍以上。人が聴き分けられる範囲は20000ヘルツ。参考になるかわかりませんが、イルカが出せる音が7000~120000ヘルツだそうです。犬は聴覚より嗅覚が上回ります。聴覚は猫より低いヘルツまでになるそうですが、嗅覚の優れた力は私たちも目にしてきています。人とともに働く犬たちは、この嗅覚を最大限に発揮します。狩りができるのも、この感覚の鋭さからです。数字に置き換えるとわかりやすいので、ざっと書いてみますね。鼻の粘膜にある受容体の数で表されます。人はおおよそ1000万個、猫はおおよそ6500万個。では、犬は?犬種にもより幅が変わります。嗅覚で活躍する犬種になると3億個と言われます。それ以外でも2億個。距離で表すと20キロまでかぎ分けることができてしまう。
視覚の情報は、私たちひとより少なく、形をとらえたり認識する、またほかの感覚のサポートの役割になってきます。
ここに記載したほかにも、感覚に当てはまるものが存在します。ひげや触覚など。彼らは全身で感じ行動しています。これらのことを、頭の片隅におきながら生活していくと、大切なことを見失わずに、時には外部からの情報も自分で仕分けができ健やかな共にある時間を過ごしていけます。最後までお読みいただきありがとうございました。
記 仙華こと須藤千治